大麦若葉末による肌の保湿およびしわ・たるみ・くすみの改善に関する特許を取得
株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役社長:服部利光)は、大麦若葉末を経口摂取することにより、皮膚の保湿作用や、皮膚のしわ、たるみ又はハリ改善作用、皮膚のくすみ改善作用を見出し、特許を取得したことをお知らせします。
■ 大麦若葉末とは
大麦若葉末は、イネ科オオムギの若葉部を乾燥、微粉砕加工した機能性食品素材です。食物繊維を豊富に含み、便通改善作用をはじめとした様々な機能性をもつことが知られています。青汁やグリーンスムージーのほか、最近ではアイスクリーム、焼き菓子、うどん等一般食品への配合素材としても注目されています。
■ 研究背景
乾燥肌、しわ、たるみ、ハリの低下、くすみ等の皮膚症状は、美容を気にする方にとって悩みの種となっています。これらの症状を改善するため、これまでに様々な皮膚の保湿剤や、しわ、たるみ又はハリの改善剤、くすみの改善剤が開発されてきました。しかしその多くは、皮膚に塗布する外用剤です。そのため、皮膚症状を改善する新規の経口組成物の開発が求められてきました。
■ 研究方法と成果
東洋新薬は、肌荒れ症状(乾燥、吹き出物)を有する35歳以上55歳未満の女性18名を試験対象に大麦若葉末を配合した食品(試験群)、またはプラセボ食品(比較群)をそれぞれ8週間摂取させる二重盲検並行群間試験〔注①〕を実施しました。その結果、大麦若葉末を経口摂取することによって、保湿効果、皮膚のしわ、たるみ若しくはハリの改善作用、又は皮膚のくすみ改善作用が認められることを確認しました。以下に研究の成果を示します。
1)保湿(角層水分量〔注②〕および水分蒸散量〔注③〕)
大麦若葉末を配合した食品を経口摂取した試験群では、比較群に比べて、皮膚の角層水分量が高かった一方、水分蒸散量は低くなりました。また、試験群では、摂取前に比べて摂取8週間後の角層水分量が有意に増加しました。このことから、大麦若葉末を経口摂取することにより、皮膚の保湿改善作用が得られることが示唆されました。
2)しわ、たるみ、ハリの改善(皮膚の弾力)
大麦若葉末を配合した食品を経口摂取した試験群では、比較群に比べて皮膚粘弾性〔注④〕が高くなりました。皮膚の弾力の増加は、皮膚のしわ、たるみ又はハリの改善につながると考えられます。
3)くすみ・肌の明るさ改善
大麦若葉末を配合した食品を経口摂取した試験群では、比較群に比べてくすみ・肌の明るさの評価点が有意に高くなりました。また試験群では、摂取4週間後および8週間後の評価点が摂取前に比べて有意に増加しました。このことから、大麦若葉末を経口摂取することにより、皮膚のくすみ改善作用が得られることが示唆されました。
以上の結果から、大麦若葉末を摂取することにより身体の内側から皮膚症状のお悩みへアプローチすることが可能と考えられます。
東洋新薬は、本研究で得られた成果を特許出願し、大麦の葉の加工物について特許を取得しました。
東洋新薬は大麦若葉末の機能性について研究を重ね、これまでに整腸作用をはじめ、血中中性脂肪上昇抑制作用、カルシウム吸収促進作用などを確認しております。2010年には便通改善作用を許可表示とした大麦若葉末に含まれる食物繊維(大麦若葉由来食物繊維)を関与成分とした特定保健用食品の許可を取得しました。東京大学との共同研究においては、大麦若葉末摂取による腸内細菌叢改善作用と皮膚の状態改善作用のメカニズム解明について日本農芸化学会2018年度大会にて発表しています。
今後も素材の新たな可能性を見出し、健康食品・化粧品のODEM(ODM&OEM)メーカーとして、一人でも多くの方の生活の質(QOL)の向上に貢献してまいります。
〔注①〕 二重盲検並行群間試験
二重盲検試験とは、被験者の思い込みや試験実施者の行動が被験者に影響を与える可能性を排除するために、被験者および試験実施者いずれにも試験食品の中身を知らせずに実施する試験です。またプラセボ対照並行群
間比較試験は、異なった2群以上に被験者を分け、被験食品またはプラセボ食品を同時期に摂取させ、それぞれの効果を評価する試験です。
〔注②〕 角層水分量
皮膚表面の角層に含まれる水分量で、肌の潤いの指標となります。
〔注③〕 水分蒸散量
皮膚のバリア機能の状態を示す指標の一つとなります。健常な皮膚が肌荒れを起こして皮膚のバリア機能もダメージを受けた場合、蒸散する水分量が増大し、この数値が上昇します。肌荒れが回復するに従い、肌荒れ前
の数値へと回復(減少)します。
〔注④〕 皮膚粘弾性
皮膚粘弾性測定装置を用いて引きあげた皮膚の瞬間的な戻り率を算出することで回復する弾力を示します。