2014年06月02日

東洋新薬 『黒ショウガ』が褐色脂肪組織を増加させる効果を生体で確認

株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、武蔵野大学 油田 正樹 教授、および嶋田 努 客員研究員と共同で、『黒ショウガ』の前駆褐色脂肪組織の分化促進作用および脂肪組織の褐色脂肪化を確認し、第68回日本栄養・食糧学会大会において発表いたしました。

■『黒ショウガ』とは
『黒ショウガ』は、ショウガ科バンウコン属の植物で、学名をKaempferia parvifloraとし、英語では“Black Ginger”、ラオス語では“Khing-dam:キング(ショウガ)-ダム(黒い)”と呼ばれており、「ポリメトキシフラボノイド」という特徴成分が含まれています。
黒ショウガはタイやラオスの山間部に自生し、現地ではお茶やリキュールなどにして飲まれており、伝承的な機能性として滋養強壮や冷え症改善があると言われてきました。

今回当社は、黒ショウガが褐色脂肪組織へ及ぼす影響として、細胞試験にて前駆褐色脂肪組織〔注①〕の分化〔注②〕促進作用を確認し、さらに、動物試験で脂肪組織の褐色脂肪化を確認し、第68回日本栄養・食糧学会大会(2014年5月30日(金)~6月1日(日)、酪農学園大学)において発表いたしました。

■研究の背景
褐色脂肪組織は、脂肪を燃やし熱産生する役割を持ち、その発熱能力は骨格筋の70~100倍もあると言われています。しかしながら、ヒトの褐色脂肪組織は加齢と共に減少し、これが中年太りの原因の1つとされているため、近年、肥満治療やダイエットの観点から、褐色脂肪組織の活性化に影響を及ぼす機能性食品についての研究が活発に行われています。

当社ではこれまでに、黒ショウガの機能性として、動物試験にて体脂肪蓄積抑制作用、体温低下抑制作用、褐色脂肪組織の交感神経活動活性化作用などを確認しております。また、臨床試験にてエネルギー消費量増加作用を確認し、黒ショウガを継続的に摂取することで褐色脂肪組織を増加させる可能性が示唆された旨を第34回日本肥満学会において発表しております。
そこで当社は、黒ショウガの褐色脂肪組織へ及ぼす影響について更なる解明を進めるため細胞試験、動物試験にて検証しました。

■発表骨子
【試験1】 前駆褐色脂肪組織の分化促進作用
雄性マウスから前駆褐色脂肪組織を単離し、分化誘導をかけた2日後および4日後に黒ショウガ溶液(黒ショウガ群)または溶媒のみ(対照群)を添加し、分化誘導6日後にPPARγ〔注③〕およびUCP-1〔注④〕の遺伝子発現量を測定しました。
その結果、黒ショウガ群では対照群と比較してPPARγおよびUCP-1の発現量が有意に増加しました。

【試験2】 脂肪組織の褐色脂肪化
2型糖尿病モデルマウス〔注⑤〕に黒ショウガエキス混合飼料(黒ショウガ群)または黒ショウガエキスを含まない通常飼料(対照群)を7週間摂取させ、X線CT装置により肩甲骨間の脂肪組織画像を撮影しました。
その結果、黒ショウガ群では対照群と比較して肩甲骨間における脂肪組織の褐色脂肪化が確認されました。

以上のことから、黒ショウガはPPARγおよびUCP-1の発現を亢進すること、前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織への分化を誘導すること、および脂肪組織を褐色脂肪化することが確認されました。

今回の知見により、黒ショウガを摂取することで褐色脂肪組織を増加させる可能性が示唆されました。

東洋新薬は今後も『黒ショウガ』の機能性を探求し、独自性の高い素材開発、商品開発に注力して参ります。

〔注①〕前駆褐色脂肪組織
成熟した褐色脂肪組織になる前の未熟な褐色脂肪組織です。

〔注②〕分化
機能を持たない組織が特異的な機能を獲得することを言います。

〔注③〕PPARγ
前駆褐色脂肪組織から褐色脂肪組織に分化させるのに重要な役割を果たす遺伝子です。

〔注④〕UCP-1
褐色脂肪組織に存在する遺伝子です。ここでは、褐色脂肪組織が熱産生機能を持つことを意味します。

〔注⑤〕2型糖尿病モデルマウス
肥満と糖尿病を自然発症するマウスで、肥満の研究に用いられています。

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