東洋新薬 白麹菌由来の『発酵セラミド』に皮膚バリア機能改善作用を確認
株式会社東洋新薬(本社:福岡県福岡市、本部:佐賀県鳥栖市、代表取締役:服部利光)は、佐賀大学麹セラミド研究所 北垣浩志所長らとの共同研究により、『発酵セラミド』(白麹菌抽出物)の皮膚バリア機能改善作用をin vitro試験にて確認し、日本薬学会第134年会において発表いたしました。
■ 『発酵セラミド』とは
『発酵セラミド』とは、焼酎の製造に使用される白麹菌(Aspergillus kawachii)から抽出され、グルコシドセラミド〔注①〕を含む美容素材で、佐賀大学協力のもと開発した東洋新薬の独自素材です。
グルコシルセラミドは、経口摂取や塗布により肌の保湿作用を示すほか、美容・健康・医療分野において多くの有用性が報告されており、植物や動物由来のグルコシルセラミドに関する研究報告は年々増加しています。
今回当社は、発酵セラミド(白麹菌抽出物)の皮膚バリア機能改善作用をin vitro試験にて確認し、日本薬学会第134年会(2014年3月27日(木)~30日(日)、熊本市総合体育館)において発表いたしました。
■ 研究のポイント
当社は2012 年1月に、本部・工場を置く佐賀県と産業振興に関する協定を締結し、佐賀県内の産学官連携事業の創出に取り組んでおります。その一環として佐賀大学と共同研究を行い、グルコシルセラミドを含有する発酵セラミド(白麹菌抽出物)が皮膚に及ぼす影響について検証しました。
■ 発表骨子
精製白麹菌抽出物〔注②〕をin vitroで3次元培養表皮モデル〔注③〕に添加し培養した後、表皮モデルに含まれるセラミド量および皮膚バリア機能に関与する各種遺伝子〔注④〕の発現量を評価しました。
その結果、精製白麹菌抽出物の添加によりセラミド量の増加および、皮膚バリア機能に関与する遺伝子の発現量亢進が認められました。
以上のことから、『発酵セラミド』(白麹菌抽出物)が皮膚バリア機能改善作用を有することが示唆されました。
東洋新薬は今後も『発酵セラミド』に関する研究を推進し、独自性の高い商品開発に注力して参ります。
〔注①〕 グルコシルセラミド
セラミドにグルコースが結合した構造をとる物質の総称です。皮膚への塗布や経口摂取により保湿作用を亢進することが報告されています。
〔注②〕 精製白麹菌抽出物
白麹菌のクロロホルム/メタノール抽出物。白麹菌中のグルコシルセラミドを高濃度に精製したものです。
〔注③〕 3次元培養表皮モデル
In vitroでヒト表皮細胞(皮膚の細胞)を培養し、ヒト皮膚に類似した構造を有する3次元培養モデルです。様々な物質の皮膚への作用をin vitroで評価する際に一般的に使用されています。
〔注④〕 皮膚バリア機能に関与する遺伝子
CLDN1・・・クローディン1。表皮細胞間を密接に結合させ、皮膚のバリア機能に重要な役割を果たす、タイトジャンクション形成に関与するタンパク質として知られています。
OCLN・・・オクルディン。CLDN1と同様にタイトジャンクション形成に関与するタンパク質として知られています。
TGM1・・・トランスグルタミナーゼ1。表皮細胞の成熟の指標として用いられる酵素として知られています。表皮細胞の成熟はセラミド産生に大きく関わってきます。
IVL・・・インボルクリン。TGM1と同様に表皮細胞の成熟の指標として用いられるタンパク質として知られています。
SPTLC2・・・セリンパルミトイルトランスフェラーゼ2。セラミド産生に関与する酵素として知られています。
UGCG・・・グルコシルセラミドシンターゼ。グルコシルセラミド産生に関与する酵素として知られています。グルコシルセラミド産生はセラミド産生に大きく関わってきます。